――巨大研究施設『ラボ』の地下で、
   原因不明の爆発が発生してから、約3時間後――
ある男が気絶から目覚めるところから、物語は始まる。

男の名は、笠鷺渡瀬。
今回の事故に巻き込まれた人々を救助するため、
送り込まれたレスキュー隊の隊長。
だが彼は救助活動の最中、何らかの原因により気を失い、
それと共に己の記憶までも失ってしまっていた……。

記憶喪失の原因はわからない。爆発に巻き込まれ、
脳にダメージを負ったのか?
ともかく自分が何者なのかわからぬまま、
突如として地獄のような環境に置かれた渡瀬。
刻一刻と死が迫るこの施設内で、命を繋ぐ『薬』の数は限られている。
さらに断続的に起こる爆発。勢いを増す火災。
それらにより館内のセキュリティシステムが暴走し、
地上と地下を繋ぐ隔壁は封鎖されてしまった。
システムが復旧し、隔壁が解放されるのは、今から9時間後――18時16分。
彼は己が本来持っていた人命救助の知識を全て失った状態で、
それまでの時間を生き延びねばならないのだ……!

その事に気づくなり、渡瀬は心が折れそうになるが――そんな彼を叱咤する『声』があった。
まるで自分自身の頭の中から聞こえてくるような声。
それが渡瀬の心の奥に残った意思を呼び覚ます。
その意思とは即ち、使命感。
レスキュー隊員として培ってきた、『人を救いたい』という想い……!
その使命を果たすため、彼は挫けそうな心を奮い立たせ、救助活動を再開する。

そんな彼を支えるのは、同じく地下に閉じ込められた二人の部下。『橘風見』と『守部洵』。
忠実にして有能な彼女たちと力を合わせ、彼は次々と要救助者を確保する。
謎めいた少女『ユウリ』や、市内の高校の教師『椿山恵那』、施設職員の『宇喜多佳司』。
1人助けるごとに、命を繋ぐために必要な『薬』の数は増えていく。
それでも渡瀬たちは、適宜必要な量の薬をかき集め、
さらに他の要救助者をも捜索していたのだが――

その直後、あろう事か施設内で、3つの惨殺死体が発見される。
しかもそのうちの1つは、渡瀬たちの同僚のレスキュー隊員の死体だった……!

こんな状況で殺人事件が!? 誰が何の目的で!?
しかもその殺人犯も渡瀬たちと一緒に、
施設内に閉じ込められている可能性があるらしい。

火災、爆発、そして得体の知れない殺人犯。
頻発する不可解な現象と、謎に満ちた施設。
さまざまな危機と悪意に行く手を阻まれながらも、
渡瀬たちは要救助者の捜索を続ける。
しかし徐々に蓄積する疲労と苦痛と疑惑は、
彼らの心をも蝕んでいく……!

悪意の坩堝と化した地下施設で、彼らが見るものは希望か、絶望か。
死と隣り合わせの世界で展開する、極限の人間ドラマ。